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BLで友情を育む!? マンガ好きも絶賛の『メタモルフォーゼの…』

  • 2018.8.14
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マンガの目利きも、BL好きも、巷のマンガファンも、口々に絶賛。それが、鶴谷香央理さんの『メタモルフォーゼの縁側』だ。

老婦人と女子高生が織りなす、何かに夢中になれる幸せな時間。

「BLで何か描きたいと提案したら、担当さんが、じゃあ主人公は老婦人と高校生とか年齢差のあるふたりでどうですか、というアイデアを出してくれました」

かくて決まった主人公が、75歳の寡婦・市野井雪と、17歳の隠れ腐女子の高校生・佐山うらら。ふたりがBLコミックを介して育む、年の差を超えた友情は……。アウトラインを説明すればこうなるが、もっとも心を射抜かれるのは、好きなものを素直に好きと言い合える幸福感や高揚感が、清々しく温かく繊細に描かれているところ。

「ひとりぼっちの者同士が出会い、変わっていくさまをテーマにしようと思ったんです。雪さんにもうららちゃんにも一応、家族や友人知人はいるわけですが、心情的には『何となく自分はひとりぼっちだ』と思っている。そういう人って案外多い気がするんですね。だからこそ、好きなものを存分に語り合うちょっとした会話の中で、本当に心が通ったような気持ちになれたらすごく満たされますよね。そんな空気感をマンガで描けたらいいなと思ったんです」

ご自身も、うららのように、好きなものに、内向きだったころが。

「高校時代、BLにしても、私は好きなんだけれど、自分の趣味をどういうふうにさらけ出していいかわからなくて、素直に表現することにはためらいがありました。友達もちゃんといたんですが、同時に、同世代とうまくつき合うのって難しいなと感じてもいました」

そんなモヤモヤ感描写がリアル。

ちなみに、雪がうららをお茶に誘うところから、ふたりの交流は深まっていくのだが、

「あれは私のひとつの憧れのようなものかもしれません。雪さんまではいかずとも、もう少し大人になったら、好きという思いにいろいろ素直になれるのかもしれないなと(笑)」

うららのイマドキな家庭環境や、「うらっち」「つむっち」と呼び合う幼なじみ・紡や、彼の彼女との関係も、気になるところ。

「BLもそうですが、恋愛も考えだすと何が何やらな感じで(笑)。模索しながら描いています」

『メタモルフォーゼの縁側』 タイトルは「けもの」(シンガーソングライター青羊(あめ)のソロプロジェクト)の楽曲「めたもるセブン」から着想。変化を自然に受け止める心を表現。KADOKAWA 780円

つるたに・かおり 1982年生まれ。マンガ家。本書が初めてのコミックス。web「LIKE THIS」にて「don’t like this」を連載。なお、今秋にはコミックス第2巻を発行の予定。

※『anan』2018年8月15・22日号より。写真・大嶋千尋(本) インタビュー、文・三浦天紗子 ©鶴谷香央理/KADOKAWA

(by anan編集部)

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