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私に元気をくれるのは、誰!? 理想と違う今に「あれれ…」な大人に贈る応援歌<連載/ウワサの映画 Vol.45>

  • 2018.8.3
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「アトミック・ブロンド」でキレキレなスパイを演じ、妖艶な美貌を披露したばかりのシャーリーズ・セロン。そんな彼女がなんと18kg(!)も増量して、”がんばりすぎて疲れ果てたわぁ”な女性を体現するのが「タリーと私の秘密の時間」です。主人公は家事&子育て疲れですけど、みんなそこそこ長く生きてれば、仕事やら恋愛やら、「こんなハズでは…」と心が沈みがちでは? 内に秘めたホンネを分かち合い、次のステップに向かう新しい自分に出会える本作。ミステリアスな展開からのサプライズなラストが斬新です!

マーロのリッチな兄(マーク・デュプラス)から、出産祝いとして”夜専門ベビーシッター”の手配の提案が。「他人に預けるなんて…」と、抵抗と罪悪感で断るマーロでしたが…

監督は人間ドラマの名手、ジェイソン・ライトマン。シャーリーズとは、「ヤング≒アダルト」に続く2度目のタッグです
© 2017 TULLY PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

主人公は、仕事も家事も育児も完璧にこなしてきたけれど、3人目の出産でついに心が折れたマーロ(シャーリーズ・セロン)。彼女は「もはや限界」と、夜間だけのベビーシッターを頼むことに。22時半に現れたタリー(マッケンジー・デイヴィス)は、チビT&ジーンズ姿にタメグチの、自由奔放なイマドキ女子。マーロの戸惑いをよそにその仕事ぶりはパーフェクトで、荒れ放題だった家はたちまち片付き、マーロは久々に笑顔と元気を取り戻します。さらにタリーは「人生の全部をケアしなきゃ」と、マーロが一人で抱える悩みの相談にのり、見事に解決する活躍ぶり! やがて友情を育んでいく2人でしたが、タリーは必ず夜明け前に姿を消し、自分のことは一切語らないのでした。果たして、彼女がマーロの前に現れた本当の目的とは…?

マーロのリッチな兄(マーク・デュプラス)から、出産祝いとして”夜専門ベビーシッター”の手配の提案が。「他人に預けるなんて…」と、抵抗と罪悪感で断るマーロでしたが…
© 2017 TULLY PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

特殊メイクも施して実在の連続殺人犯を怪演した「モンスター」でオスカーに輝いたシャーリーズですが、今回もそのカメレオンぶりがスゴいのなんの。身長約180㎝の超絶スレンダー美人が贅肉ブヨブヨの巨体に大変身、若者を追い抜くジョギングシーンの鬼気迫る執念がコワいっ。盛ってなんぼのハリウッド女優がこんなに果敢に”劣化版”をさらすなんて...、これぞ本物の役者魂! 演技も繊細で、「人に頼れないの」っていう”抱え込み屋さん”が、耐えて、思考停止になって、爆発して…。そのギリギリ感に”押し付け屋”の私は反省しきり。「これでいいの? 私の人生」&「昔に戻りたい」と虚しく目が据わってる姿も、猛烈に共感を誘うんだよね。ついでに、マーロのでっぷりお腹に対する娘の残酷な一言「そのカラダどうしたの?」に過剰反応してしまった私は、思わず「こっちが聞きたいわ(怒)」。

手のかからない娘・サラとは対照的に、息子のジョナは情緒が不安定。小学校の校長に「ジョナには違う学校へ行ってもらう」と言われて…、マーロがついにブチギレ!
© 2017 TULLY PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

心身共に崖っぷちな主人公を救うスーパー・ベビーシッターに扮した、マッケジー・デイヴィスも巧かった。「ブレードランナー2049」の娼婦役でも強烈なインパクトを残した(あの不思議なベッドシーンが忘れられなーい)、ブレイク間違いなしの逸材です。すべてを悟ったような瞳に吸い込まれそうな謎めいたタリーを通じて、主人公も観客も、自分自身や家族についてより深く理解することになる…。そんな重要な役どころで独特の存在感を放っています。

「ターミネーター」シリーズ最新作にも出演決定のマッケンジーちゃん。キュート系もクール系も似合う高身長の美人さんで、今後の活躍が期待されます!
© 2017 TULLY PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

「今が”絶対イヤ!”ってわけじゃないけれど、理想とはぜんぜん違う…」と引きつった苦笑いを浮かべる大人たち。その切ない心情を、「JUNO/ジュノ」、「マイレージ、マイライフ」で2度のアカデミー賞候補となったジェイソン・ライトマン監督がリアルにすくい取ります。散りばめられた伏線が一瞬でつながるラストへの盛り上げ方といい、神秘性も投入した演出が見事でしたね。タリーの謎と共に”2つ目のストーリー”を知ることになる”仕掛け”に唸っちゃう。

夫のドリュー(ロン・リヴィングストン)は、優しいんだけど家事も育児も妻任せで、寝る前はゲームに夢中…。それを受け入れているマーロですが、視線は文句タラタラですね
© 2017 TULLY PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED

タリーと出会い、「世界が明るくなった」と微笑むマーロ。取り戻した本来の穏やかな表情を捉える映像が美しくて、”何か”を消化した女性の清々しい安堵に癒されます。そしてタリーの「赤ちゃんにキスしてあげて。明日は別人よ。少し成長しちゃう、私たちも」っていうセリフの真意が胸に迫るのでした。現実と折り合いをつけるための”葛藤と解決のプロセス”が無性に愛しい1本! 「この人生、悪くないかも」という肯定に終わらず、未来へのエネルギーを注入されて「今度こそっ」と息巻く私。っとに…、懲りないよねぇ。【東海ウォーカー】

自分も減量すればロレーン(=「アトミック・ブロンド」のヒロイン)みたいになれちゃう!?、などとうっすら夢を見ちゃいましたが…。どうにもねぇ、基礎が違いすぎる(涙)
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【映画ライター/おおまえ】年間200本以上の映画を鑑賞。ジャンル問わず鑑賞するが、駄作にはクソっ!っとポップコーンを投げつける、という辛口な部分も。そんなライターが、良いも悪いも、最新映画をレビューします! 最近のお気に入りは「アントマン&ワスプ」(8月31日公開)のマイケル・ペーニャ!(東海ウォーカー・おおまえ)

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