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「次の世代に伝えるべき」弾圧を乗り越えて作り上げた衝撃の実話が日本上陸

  • 2018.7.31
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1987年に韓国で起きた民主化闘争の全貌に迫った社会派映画『1987、ある闘いの真実』(9月8日公開)のトークイベント付き試写会が30日、東京・神楽座で開催され、来日中のチャン・ジュナン監督と、日本を代表する社会派映画の名手・阪本順治監督が登壇した。

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本作は軍事政権下の1987年1月14日、ソウル大学の学生パク・ジョンチョルが警察から取り調べを受けている最中に命を落とした“不可解な死”を契機に、真の自由と平和を求めて立ち上がる人々の姿を描いた衝撃の実話。心臓麻痺と発表されたジョンチョルの死因に疑問を抱いたソウル地検公安部長のチェ検事は、死因の解明を部下に命じる。そしてその事件はマスコミを巻き込んだ大騒動へと発展していくのだ。

作品を観終わったばかりの観客に向けて流暢な日本語で挨拶をしたジュナン監督は「日本の観客のみなさまがどのようにこの映画を観てくださったのか気になっています」と述べ「韓国の現代史にとって重要な足跡を残す1980年代について、何故誰も語ってこなかったのかと、もどかしさを感じた。悲しい物語ではあるが、次の世代に伝えるべき美しい話だと感じました」と、映画化に踏み切った動機を明かす。

本作の制作を始めた当時、韓国は朴槿恵政権下にあり弾圧が激しい時代だったと振り返るジュナン監督は「勇気を振り絞って映画化を決心した。この映画を作っていることが外部に漏れてしまうと、観客に届けることができないと思っていた」と多くの苦労を乗り越えたことを明かし「そんななかで朴槿恵政権の腐敗が明らかになって社会の情勢が瞬時にひっくり返った。韓国映画界の“アベンジャーズ”とも言える豪華な俳優が出演してくれたのは私の力ではなく、この物語が持っている力です。まさに奇跡的な過程でした」と、31年前の出来事が現代社会にも大きな影響を与えていることを語った。

また、当時民主主義回復を求めつづけた重要人物、金大中元大統領が1973年に日本で拉致された「金大中事件」を『KT』(02)として映画化したことがある阪本順治監督は、本作について「大統領から大学生まで、あらゆる視点が網羅されている。過去の時代を告発するために作った映画ではなく、善悪を単純化しなかったことなど、同業の人間として多くのことを学ばせてもらいました」と絶賛。

作品を観て涙がこらえきれなかったという阪本監督は「安い涙ではなく、いまの時代にもきちんと返ってくる涙だったと思います」と述べ、それに対してジュナン監督は「非常に短いコメントで確信をついて、深い部分を述べてくださった。やはりすごい監督さんだなと思いました」と、にこやかに互いを称え合った。(Movie Walker・取材・文/久保田 和馬)

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