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インテリアもすてき! 京都の隠れ名所で、有名建築家の自邸「聴竹居」を見学

  • 2018.7.23
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京都と大阪の県境、サントリーの蒸溜所があることでも知られる大山崎で、ある一軒の邸宅が注目されています。それが2017年に国の重要文化財に指定された「聴竹居(ちょうちくきょ)」。建物が完成したのは今から90年前。大正から昭和にかけて活躍した建築家・藤井厚二が自邸として設計しました。今回は、日本の風土やライフスタイルに合った美しいモダン建築「聴竹居」の魅力をご紹介します。

インテリアもすてき! 京都の隠れ名所で、有名建築家の自邸「聴竹居」を見学
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インテリアもすてき! 京都の隠れ名所で、有名建築家の自邸「聴竹居」を見学
木々に覆われた聴竹居の入り口

JR山崎駅から線路沿いを京都方向に歩き、踏切を渡ると赤いポストを発見。ポストの左側の細い坂道を約3分ほど上った先に「聴竹居」と書かれた小さな看板があります。

ガイドと一緒に建物を見学

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主屋の玄関

「聴竹居」は事前予約で見学が可能で、玄関前で受付をすると案内をしてもらえます。案内時間は約60分。広島県の十数代続く造り酒屋の次男である藤井厚二の生い立ちから、日本の気候に適した建築設計、照明や家電製品へのこだわりまで、ガイドの方が丁寧にお話してくれます。

和と洋が調和した空間デザイン

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写真左端に見える畳の小上がり

邸宅全体の特徴のひとつが、和風と洋風が融合したモダンなデザイン。玄関を入ると板間の居室(リビング)があり、「聴竹居」を象徴する空間です。この空間の一部には畳の小上がりになっていて、椅子に座った人と畳に座った人の目線が合うように畳の間の床の高さを30cm高く設計。家族の姿をいつでも感じられ、会話が楽しめる工夫がされているのだとか。

各部屋でデザインの異なる照明も個性的

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各部屋で形やデザインが異なる照明。(左上)客室、(左下)縁側、(右)居室

居室に設置されている照明は、畳の小上がり、神棚など照らす場所の雰囲気に合わせた明るさに調整するため、それぞれ大きさを変えているそうです。また、照明のヨコ部分からも光を放つデザインにすることでより広く空間を照らしています。

照明は居室だけではなく、客室、縁側など空間に合わせて、大きさやデザインが異なります。これらも藤井厚二が設計しているそうです。

パノラマビューが楽しめる縁側

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木々の緑が美しい縁側

縁側に移動すると、対岸の男山と三川合流を見渡す雄大な景色が広がっています。この窓にも、暮らしを豊かにする工夫がいっぱい。上部がすりガラスになっていて額縁効果で景色をより美しく感じられるように設計。機能的にも考えられていて、冬の寒さの原因である隙間風を防ぐため、柱と窓が設置する部分を凹凸にして窓を閉めた時の密閉度を高めています。

夏と冬を快適に美しく暮らす工夫の数々

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(左)畳の小上がりの下部分にある導気孔、(右)青海波模様がデザインされた電気ストーブ

住まいに入って気づくのが、その涼しさ。エアコンは一台も見当たらないのですが、心地良い温度の冷房がかかっているかのように感じます。この涼しさの秘密は、大山崎エリアの風向きを観測し室内に風を取り込みやすい方角に窓を多く配置。さらに畳の小上がりの下部分に導気孔を設け、地中熱で冷やされた風を取り入れることで蒸し暑い夏も足元からやさしく冷やしています。

また、藤井厚二が作らせた電気ストーブも特徴的。青海波模様が明かりに照らされ床に映る仕組みになっていて照明と暖房の2つの役割を果たしています。見た目の美しさと機能が見事に調和したデザインです。

建築だけではなく、ライフスタイルそのものもデザイン

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自作の家具でもてなす客間

ほかにも、自作の机と椅子でもてなす客間。調理室と小窓一枚でつながる食事室。自らの釜で焼いた白いタイルを水廻りに貼った清潔感のある調理室。さらに家電にもこだわり、当時では珍しいスイス製の電気冷蔵庫を使用するなど、エコでありながらオール電化でもあったそうです。

妥協なきお金の使いっぷりも見事ですが、建築だけでなく、家具や照明など暮らしに関わるありとあらゆるものをデザインした藤井厚二。その計算された工夫の数々を随所に感じることができます。

案内の後は15分ほど自由見学ができます。居室から縁側、客間と最初から見直してそのこだわりを改めて見て回ったり、案内の人に話を聞いてみたり。自然と調和した住まいの美しさとライフスタイルを感じてみてください。

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