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【ひとみしょうのお悩み解決】夫婦のセックスレスについて悩んでいます

  • 2018.7.13
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“【お便り募集】文筆家ひとみしょうさんにあなたのお悩み解決してもらいませんか?”に送られたお悩みの中から、ピックアップしてひとみしょうさんが解決していきます。

〜「さららさん・32歳・女性」のお悩み〜

夫婦のセックスレスについて悩んでいます。

元々主人は性慾が強くなく、結婚前からセックスの頻度はたかくありませんでした。二年前子供も授かってから、現在に至るまで、一回もありません。

女性としての、努力は独身のときよりおなざりになっていると思って、ダイエットとなど、様々な努力を重ねています。

もう一度彼に抱かれるにはどうしたらいいのか暗中模索しています。どうしたらよいでしょうか?

〜ひとみしょうさんのお悩み解決コラム〜

セックスレス問題の3つの背景

数年前にネットでセックスレスが話題になってから、いろんなところにセックスレス解消法について書いてきましたが、いまだ納得のいく答えにたどり着いていないので、今回のこの相談をきっかけに、ふたたびセックスレス問題について真剣に考えてみました。

セックスレス問題が複雑にならざるをえない背景は、3つあるように思います。

1)セックスが好きかあまり好きではないかは、ある程度は持って生まれたものであり、例えば旦那さんがあまり好きじゃなかった場合、強制的に好きになってもらう方法がほぼないこと。

2)男性の中には「自分の妻には貞淑であってもらいたい」と無意識に思っている人がいるということ(≒遊びの女性には淫乱さを無意識のうちに求める)。

3)男性の中には、過去の経験から「女性がどれくらい性欲を持っているのか」さっぱり想像できない人がいるということ。

まずは一般的な解決法を述べるなら

この3つの背景をあるていど度外視したうえでセックスレス解消法を述べるなら、ときには夫婦で「背筋が伸びる場所」に行くといい、という方法があります。

例えば夫婦でちょっと値の張るレストランで食事をするんです。少しばかり着飾って、静かな店内で高級なものを食べるんです。すると自動的に奥さんは「女」になり、旦那さんは「男」としての血が騒ぎ、食事が終わるころには「ではホテルにでも」となります。背筋が伸びる場所に行く効能効果って、一般的にはこういう感じです。

江戸時代後期くらいのフランスでは、音楽会やオペラの会場において男女が出会って、やがてそういう関係になる、というのが一般的だったようで、今でいうところの「カタい場所・マジメな場所」は、むかしは「男女ともに背筋を伸ばして『そういう行為』をする相手を探す場所」だったらしいです。たとえばオペラ『椿姫』はそういう背景を持っています。

「好き度合い」がちがうって・・・

この方法のアレンジパターンとして、家の中で旦那さんも奥さんもだらしない格好をしないとか、あなたが書いているようにダイエットするとか、そういうのがあるわけですが、でもぶっちゃけ、事の真相はそんなに生やさしいものではないと僕は思っています。

まず上に書いた1)について。

セックスが好きかあまり好きではないかは、ある程度持って生まれたものによる、ということについて。

セックスレスに悩んでいる奥さんたちって、セックスが「まあまあ好き~すごく好き」であることが多いです。セックスレスの相談のときに、赤裸々にというか、なんというか、それなりに事細かに現状を聞かせてくださる人がいて、そういう人たちは「わたしはセックスが好き。でも旦那はそんなに好きじゃない」とハッキリ言います。

あなたの場合はどうなのか分かりませんが、あなたは32歳ということなので、年齢的に見て、おそらくあなたはセックスがまあまあ好き~すごく好きで、旦那さんはそれほどでもないのかもしれないですね。

男性が意識しないと解決されないこと

2つ目の背景である「男性の中には『自分の妻には貞淑であってもらいたい』と無意識に思っている人がいるということ」について。

これはある種の男が男尊女卑的な思想を持っているということではないんですよね。「無意識に」というのがポイントで、彼らは自分の妻には貞淑でいてもらいたいという無意識の願望が、奥さんの欲求不満や女としての悲しみにつながっているなんて、よもや思っていないわけです。無意識だから。

つまり、世の男性たちが「奥さんにだってしたい時があり、その気持ちが満たされないと哀しい思いをする」ということを前景化する、つまり意識しないと話が始まらない。

そしてこれは3つ目の背景である「男性の中には、過去の経験から『女性がどれくらい性欲を持っているのか』想像できない人がいる」ということにつながります。

男は「セックスレスで当たり前」な時代を過ごしてきた

男性の多くは、中高生の頃したくてもヤレる相手に恵まれてきませんでした。つまり多くの男性は思春期をセックスレス状態で過ごしてきました。

一方、女子は……人によるのかもしれませんが、したいと思ってちょっと何らかの行動を起こせば、すぐにヤレる相手に恵まれてきたはずです。男が「ちょっと」行動に移すとどうなっていたのかといえば、女子に「わたしの体だけが目当てで付き合っているの?」と泣かれました。あるいは昔であればダイヤルQ2(今でいう出会い系サイトのようなもの)に電話して、あとからかなりの金額の請求が来て、親に怒られました。

ヤリたくてもできない女子の思いが切実なものであるのと同様、男子高生のそれもかなり切実で、バイト代を貯めて風俗店に行き、高校生であることが店の人にバレて痛い思いをした人もいました。男は愚かなのか? いいえ、誰にとっても「したくてもできない」のは切実な悩みだということです。

ヤリたくても、どうしてもできなかった時代、それが今でも鮮烈な記憶として残っている「男の思春期」でした。

だから男たちは「セックスレス状態で当たり前といえば当たり前」と思っているところがあります。

それに加え、思春期にヤラせてもらえなかった(むしろ女子に手を出したら不潔扱いされた)男たちは、オトナになってもなお、女性に性欲があるのかないのか、よくわかっていないところがあります。

なぜ奥さんだけが我慢しなくてはならないの?

そんなこんなで、「ふつう」にしていれば、夫婦は簡単にセックスレス状態に陥り、旦那はそれをふつうだと思っており、奥さんだけが嘆き悲しむようになる――これが今現在の僕の結論です。

では女性はどうするべきなのか? たちまちあなたはどうするべきなのか?

旦那さんにバレないように、満たしてくれる男性を探してみてはいかがでしょうか?

セックスレス問題についてこう答えると、かならずといっていいほどクレームが来ます。いわく「不倫はよくない」と。いわく「これを書いているひとみしょうというヤツはとてつもないアホなのか」と。

でも思うんですが、セックスレス状態を、なぜ奥さんだけが我慢しなくてはならないのでしょうか?

奥さんだけが我慢してつらい思いをして、旦那はなんとも思っていない――こういう状況を許すことこそが「男尊女卑思想」なのではないでしょうか?

セックスの好き度合いは死ぬまで変わらないという事実をどう見るか?

実際に、セックスレスの相談をもちかけてきた奥さんの中には、どうにもならないこと(つまり旦那を『セックスあまり好きじゃない状態』から『好き』へと変えること)を諦めて、ほかにエッチする相手を見つけて、それなりにうまくやっている人が何人もいます。

そういうのが倫理的に良いか悪いかといえば、きっと悪いのでしょう。でもヤリたいのを我慢し続けることは、身体や人の精神において良いのか悪いのか?

思春期などにいやというほどセックスレス状態を味わってきた僕は、良くないと、ごくシンプルに思うのですが、いかがでしょうか。

反対に、ヤリたくもないのに、なかば強引にヤるように仕向けられるのも、男女双方にとってつらいことですよね。食べ物を食べたくない時に「さあ食べよう」と言われているようなものだから。

ご質問の文章に「もう一度彼に(旦那さんに)抱かれるにはどうしたらいいのか」とあるので、こういう答えを書くのもどうなのかなと思いましたが、でもセックスの好き度合いって、性格と同じで死ぬまで変わらなかったりする、という誰にとっても厳しい現実があるんですよね。(ひとみしょう/文筆家)

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