1. トップ
  2. 恋愛
  3. 結婚式の準備期間に発覚した妻の本性

結婚式の準備期間に発覚した妻の本性

  • 2018.7.9
  • 8754 views
Grapps

身内をネタにコラムを書く場合、通常は身内の失敗などを取り上げつつ身内の立場を下げ、相対的に読者の立場を上げる、ということをします。それが昔からある「身内ネタコラム」におけるひとつの型なんですが、今回ばかりは「妻はスゲー人でした」と言わざるをえない。

結婚式の準備期間って、ふつう女性は忙しいじゃないですか。招待状の発送ひとつをとっても「じつはわたしは参列したかったのに、どうして招待状を送ってくれなかったの?」とか「おれは招待されても絶対に出席しねぇ!」とか、こういうことを避けようと思えば、事前の根回しが必要なわけで、根回しするのだって手間も時間もかかるしね。

ウエディングドレス選びだって、女性は時間がかかりますよね。男は「じゃあこれで」と、なにが「じゃあ」かわからないけど、なんかすぐに決まってしまうのに対し、女性は1日かけてもまわりきれない感じの「ドレスのお城」の中から1着選ぶのだから大変ですよね。

それに加えて、ブーケをどうするのか、テーブルコーディネートをどうするのか、BGMは?写真撮影は?動画は?など、細かな打ち合わせがあり、そういう打ち合わせが挙式1ヵ月前くらいから怒涛のように押し寄せてきて、写真や動画、花にこだわりたいのは女性のほうだから、どうしても女性は忙しくなり、加えてブライダルエステやネイルサロンに通ったりして。

さらにこの時期は、コーディネーターさんからいろんなことを「確認してください」と言われます。

「引き出物の数、合ってますか?」「食事なさる人の数、合ってますか?」「子どもの数、合ってますか?」「いくつですか」と何回尋ねられたことやら、ですが、確認、確認、再確認で忙しかったのも妻でした。

ぼくは……ここで初めて正直に告白しますが、妻が言ったことを「そうですね」となぞっていたのでわりと暇でした。「親戚の子どもって10人でいいのよね?」と言う妻に「そうですね」と答えただけ、みたいな。

決して手を抜いているとか結婚式をしたくないとか、そういう気持ちだったわけではなく、ほら「船頭多くして船山に上る」って言いますよね。結婚式は妻のしたいようにやればいいとぼくは思っていたので、「誰がどう考えてもそれはおかしいだろ」と思えることに対して以外、ぼくはなにも言わなかったのでした。

1ヵ月前のドタバタに加え、送賓のときに手渡すもの(お菓子などの詰め合わせにした)も、妻がひとりでスタバや「おかしのまちおか(これ、予測変換で出る!スゲェ!)」などでお菓子を買ってきて、それを袋に詰めて(80袋くらい)、その袋に「今日はありがとうございました」のスタンプを押したメッセージカードを貼り、しかもそのスタンプも妻みずからネットで探して発注して……という感じで、とにかく妻の負担が大きかったです。

準備作業に精を出す妻を傍目に、猫の手も借りたいくらいの気持ちなのかなあと、不安に思ったものでした。ブライダルエステ、確認、確認の結果まちがっていた時の修正、スタバ、まちおか、お菓子の詰め作業、ハンコの発注、ハンコを押す紙にインクがのらなかったのでメッセージカードの買い直しなどなど、それらぜ~んぶ妻がやりました。

そんなある日、式場のかつら合わせの打ち合わせから戻った妻はぼくに言いました。

「今日、かつら合わせしてたら、後ろのブースの女性が『結婚式前ってホントに忙しくて、カラダがいくつあっても足りないわ』とぼやいてたよ。この前もそう言っている女性が何人かいたよ。みんな何がそんなに忙しいんだろうね? わたし全然忙しくないんだけど。なにがそんなに忙しいのか聞いてみたいわ」

身内をネタにコラムを書く場合、通常は身内の失敗などを取り上げつつ身内の立場を下げるわけですが、今回ばかりは「妻はスゲー人でした」と言わざるをえない。(ひとみしょう/文筆家)

元記事で読む
の記事をもっとみる