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ルーミーは幽霊! ”根暗エライザ”がキュートなほっこりオカルト・コメディ<連載/ウワサの映画 Vol.40>

  • 2018.6.29
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今回紹介する映画のタイトルである「ルームロンダリング」ってなんだろ?と思ったら、「自殺・他殺などが起きた事故物件は、次の入居者(一人目のみ)に対して告知義務がある」というルールのもと、手の者を一度住み込ませて「クリーンな空き部屋」にリセットするお仕事ですって。怪しい…。マネーみたいにお部屋もこっそり洗浄してしまえっていう奇抜な題材と、幽霊と普通に交流しちゃう霊感持ちの根暗ヒロインのかけ合わせにより、”ユルくて心温まるオカルト・コメディ”っていう新ジャンルが誕生! 池田エライザちゃん演じる、徐々に自身をロンダリングしていくヒロインにもほっこりしちゃいます。

アヒルのランプが手放せない、孤独な不思議ガール・御子。彼女にとっては、嘘をついたりする生きている人間の方が、幽霊よりもよっぽど恐ろしいようです

「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2015」で準グランプリを受賞し制作された本作。片桐健滋監督のおしゃれでファンタジーな世界観にハマりました~
©2018「ルームロンダリング」製作委員会

主人公は、5歳で父親と死別した御子(みこ/池田エライザ)。その翌年には母親が失踪し、やがて育ててくれた祖母も他界して、18歳にして天涯孤独の身に。そんな彼女に、母の弟・悟郎(オダギリジョー)が、ワケあり物件に住み込んで事故の履歴を帳消しにする”ルームロンダリング"のアルバイトを紹介します。行く先々で待ち受けていたのは、幽霊となって部屋に居座る、この世に未練タラタラな元住人たちとの奇妙な同居生活でした。死んでもミュージシャンになる夢をあきらめきれない公比古(渋川清彦)に、見ず知らずの男に突然命を奪われ恨みつらみまみれのOL・悠希(光宗 薫)。彼らの言いたい放題のお悩み相談に振り回されるうちに、悠希の隣人の亜樹人(健太郎)も巻き込んで、御子は自分の人生と向き合っていくことに…。

殺されたOL・悠希の隣室に住む亜樹人。事件当時、異変に気付きながら何もできなかったことを悔やんでいる彼は、越してきた御子の身をなにげに心配しています
©2018「ルームロンダリング」製作委員会

ヒロイン役の池田エライザちゃんの”どんより”ぶりが意外性抜群です! お母さんの失踪とイジメが原因で人付き合いが苦手になったヒロインには好都合だったバイトが、なぜか見えるようになっちゃった幽霊とルームシェアという異常事態に発展。他人と関わらないことで傷付くことを避けてきたというのに、2人の幽霊&本当は交流御法度の隣人に絡まれて、閉じてた心をなかば強制的に開かされていく...。後半のエライザちゃんが、パニック寸前の感情の激ブレで大いに盛り上げます。「自分の才能(霊感&得意の絵)を、幽霊の成仏のために使ってみようか」と踏み出す他人への思いやり行動が、しっかりと彼女に跳ね返ってくるのです(涙)。

アヒルのランプが手放せない、孤独な不思議ガール・御子。彼女にとっては、嘘をついたりする生きている人間の方が、幽霊よりもよっぽど恐ろしいようです
©2018「ルームロンダリング」製作委員会

なんといっても、この2人がポイント高い! まずは、ヒロインが風呂場で遭遇するパンク幽霊・公比古役の渋川清彦! 平然とふるまう御子に対して「オレ、幽霊だけど、見えてんの!?」とキョドる姿にも”イイヤツ”感がにじみ出てて、それゆえに自殺しちゃったんだね…、っていう哀愁がたまらんー。失くしたはずの自分の演奏のデモテープを見つけ、「レコード会社に送ってくれ!」と死しても自分の音楽への評価が気になるようで…。御子が、光宗 薫扮する殺されたOLの部屋へ引っ越しても着いて(憑いて?)来ちゃう、愛すべき困ったさんキャラ!

御子が一向にレコード会社に送ってくれないデモテープへの執着から、引っ越し先の部屋にまでやって来る公比古さん…。さみしんぼな渋川さんがツボです!
©2018「ルームロンダリング」製作委員会

そしてもう一人は、御子に会う度に「絵、書いてるのか」とリアル叔父さん風にお決まり質問をするオダギリジョーです。チャラすぎる見た目で非道な商売をしてるくせして、姪への愛情は不器用ながらも超深い。そんなギャップが憎めない男を演じ、さすがの安定感です。そして奇抜な衣装もかっこよく着こなしちゃうあたりは、さすがのハンサムガイ! さらに、ほかのキャスト陣も個性が立っていて、ほのぼの世界観の中で魅力が引き出されてますねー。演技力は別として~(渋川&オダジョーは上手いよ、念のため)。

孤独死の老人や、育児放棄で餓死した幼児ら、さまざまな幽霊に出会ってきたヒロインと彼女を見守る叔父。大都会・東京で繰り広げられる生と死のドラマが味わい深い!
©2018「ルームロンダリング」製作委員会

フランソワ・トリュフォーの編集で知られるヤン・デデ氏に3年間師事し、本作で長編映画初メガホンを取った新鋭・片桐健滋監督。おフランス帰りの彼によるインテリアやファッション、オルガンの音楽なんかもおしゃれで、部分的に醸す「アメリ」っぽい雰囲気もステキです。そんなふんわり感の中で浮き彫りになるのは、微妙に難しい”人とのかかわり”。それを拒絶していたヒロインと、周囲の目を気にしすぎて自殺した男&殺された女を通じ、”部屋”という日常の足場から現代社会の生きづらさをさらりと伝えています。最近では貴重な、こだわり満載のオリジナル作品を生んだ片桐監督の今後に期待大です!【東海ウォーカー】

悠希はある日突然命を奪われ、御子に対して恨み節を炸裂させます。うざがっていた御子ですが、公比古の後押しもあり、彼女の無念を晴らそうと思い立ちますが…
©2018「ルームロンダリング」製作委員会

【映画ライター/おおまえ】年間200本以上の映画を鑑賞。ジャンル問わず鑑賞するが、駄作にはクソっ!っとポップコーンを投げつける、という辛口な部分も。そんなライターが、良いも悪いも、最新映画をレビューします! 最近のお気に入りは「ジュラシック・ワールド/炎の王国」(7月13日公開)のクリス・プラット!(東海ウォーカー・おおまえ)

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