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ジェームス・ボールトが撮影したオペラ座のエトワールたち。3月24日に写真集『Etoiles』が発売される。

  • 2016.3.16
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写真家ジェームス・ボールトの名前を知らなくても、ファッション関係者の中には彼が撮影した写真を目にしたことがある人も多いに違いない。例えば、アルベール・エルバズの時代のランバンのショーのバックステージ、ジャン・ポール・ゴルティエなどクチュリエやクリエーターたちのポートレート......。それだけではなく、バカラ、ウエストン、エルメス、ピアジェなど、リュクスなアール・ド・ヴィーヴルの世界でも彼の腕前は知られている。彼がこの世界へと導かれたのは、ディオールのクチュール・アトリエのルポ撮影をする機会を得たことからに始まるそうだ。職人たちが時間をかけて最上級の品を創り上げる工程にすっかり魅了された彼。以来、敬愛をこめて、職人たちの手が生み出す一瞬の美しさを彼は切り取り続けている。

こうした仕事と並行して、彼が情熱を傾けるのはダンス関係の撮影だ。そのきっかけとなったのは、数年前のレペットの広告写真撮影である。その撮影のモデルを務めたのはメゾンのミューズであるオペラ座のエトワール、ドロテ・ジルベール。彼女との出会いから、オペラ座は彼にとって身近な存在となり、バレエ、ダンサー、舞台裏などを撮影するようになった。ダンサーの写真というと舞台衣装を着て、舞台用のヘアメークをして、ダンスのポーズ......というタイプがほとんどだったのだが、彼はファッション関係の撮影で発揮するスタイリッシュな感性をダンサーの撮影にもたらした。 それはオペラ座バレエ団に新しい空気をもたらそうというバンジャマン・ミルピエ芸術監督の意欲にぴったりフィット。かくして、オペラ座のサイトやプログラムに使われるエトワールたちのポートレート撮影が、彼に託された。

左:Cherche Midi出版から発売される写真『Etoiles』のカバー。右:ジェームス・ボールト。ベルギーの印刷所にて。

18名のエトワールたちに好みの衣装を選ばせ、ジェームスは昨年7月、3日がかりで全員を撮影した(http://www.jamesbort.com/2015/10/etoiles-opera-paris-making-of/)。マリー・アニエス・ジロは『オルフェとユリディーチェ』、ドロテ・ジルベールは『マノン』、マチュー・ガニオは『ロメオとジュリエット』、ジョジュア・オファルトは『オネーギン』、エレオノーラ・アバニャートは『優しい嘘』......衣装を着ているものの、ダンサーたちのヘアメークは舞台用ではないし、素足だったり。それは、ステージにあがる前にダンサーたちが鏡の中で自分と向き合う瞬間、というのがジェームスの意図するところだったからだ。こうして撮影された写真が、このたび、80ページからなる1冊にまとめられた。題して『Etoiles』(Cherche Midi刊/ 28ユーロ)。3月24日からパリ市内の書店にて販売が始まる。そして、オペラ・バスチーユでは3月19日から始まる『ロメオとジュリエット』の公演中、ジェームスが撮影したエトワールたちの写真を展示するそうだ。

ジェームス・ボールトの『Etoiles』より。ドロテ・ジルベール(上左)、マチュー・ガニオ(上右)、マチアス・エイマン(下左)、ステファン・ビュリオン(下右)。

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